PRIDE SCHOOL

第1回PRIDE SCHOOL卒業生インタビュー『30代のゲイ男性Jさん』の場合

2020年10月11日から約1ヶ月間にわたり、株式会社TENGAと株式会社JobRainbowがタッグを組んで開講したPRIDE SCHOOL。
これまで選択肢の少なかったLGBTQ+が“自分らしいキャリア”を掴めるよう、同じ境遇の仲間達と高めあい、ロールモデルと出会える日本初の「LGBTQ+向けオンラインキャリアアップスクール」です。
その第2回開講が決まったことを記念して、「PRIDE SCHOOLを卒業して人生がどう変わったのか」を、全3回のインタビュー形式でご紹介します!

 

今回インタビューに答えてくださった卒業生は、 30代でゲイのJさんです。
自分らしさを発揮してさらなる飛躍を目指す「チャレンジコース」を受講していた彼は、受講当時、仕事で当事者と関わる機会も多いという現役の社会人でした。
彼の人生は、PRIDE SCHOOLを通じて、どう変化したのでしょうか?

 

 

応募前のホンネ 〜「今の会社に残る」「転職」それぞれの選択肢〜

元々転職を考えてJobRainbowの求人サイトを使っており、そこからPRIDE SCHOOLの開講を知りました。TENGAとのコラボ、と聞いたときは、素直に「どんな感じなんだろう、なんか面白そう」と思いました(笑)

 

私はずっと人事畑で働いていて、社員の相談に乗ることも多いポジションです。
相談に来てくれる人が、セクシュアリティについても赤裸々に悩みを打ち明けてくれるのに、私自身は近しいメンバーにしかカミングアウトしていなかったので、自分はセクシュアリティを隠しているよな……というもどかしさがありました。

 

あとは、入社面接を受けに来てくれた同性愛者やトランスジェンダーの方が、仮に入社してくれたとして、「当事者として自分はその人たちに何ができるのだろう」と考えることもありました。
ただ「具体的にどういったことができるのか」がわからずにいたのですが、PRIDE SCHOOLのチャレンジコースではD&Iのリーダーシップをとる方法論を学べそうだったので、応募を決めました。

 

そのため、PRIDE SCHOOLを受講しはじめた時は「今の会社に残り、D&I推進のためにできることを探したい」という気持ちと、「よりLGBTフレンドリーな会社に転職したい」という気持ちが両方ありました。

 

 

受講中のホンネ 〜一貫した安心感〜

 

入学が決まったときはびっくりしました。
PRIDE SCHOOLの概要を見たとき、「この講義を受けたい、就職活動に悩む新卒・第二新卒の当事者の方々はたくさんいるだろうし、応募者も多くなるだろう」と思っていたので、当選するなんて考えてもいませんでしたから。

 

受講前のメッセージなどにも個人のプライバシーへの配慮を感じ、応募前から安心感はあったのですが、受講中もそれは変わりませんでした。
顔を出す/出さない、本名/ニックネームなど人それぞれ自分に合ったスタイルで受講でき、心理的安全性がありました。自分自身、名前を出さなければいけないんじゃないか、と不安だったので。
開講式に取材が入った際も、事前に「カメラをオフにしたい方は今のうちに設定しておいてください!」「ZOOMの名前変えたい人いますか」などポイントごとに呼びかけがあり、安心しました。

 

3つあるクラスのうち、自分のいたブルークラスはマイペースな人が多かったです。
そのおかげで、講義前のホームルームが一番心理的安全性を感じられました。
「自分から話さなければいけない」といった圧力もなく、話したい人が話せばいいほんわかした空気で。たわいもない会話をできる、気を張らなくていい時間だったからこそ、ふだんの「仕事」から「講義」に自然と切り替えられる10分間でした。

 

講義で聞いたD&Iのリーダーシップ論は、すごく考え方を変えてくれましたね。「ああ、こういった側面もあるのか」みたいな。
「ダイバーシティ」はよく聞くのですが、多様性を深く理解した上で活用する「インクルージョン」の部分までしっかり踏み込んだ内容は、ためになりました。
ダイバーシティの指すものが、見てわかる表層の部分から目に見えない深層のところにシフトするなかで、私たち受講生がその橋渡しを担っているのだと言っていただけて、背中を押された気がしました。

 

問題解決力向上の講義では、社会人として大切だと知りつつ苦手意識があって避けていた内容をわかりやすく学べました。
自分は今まで、何か問題が発生したとき感覚的に動いていたので、講義で身についた「自分の意思や問題の本質を見極める・対策をたてる・PDCAをまわして解決する」という一連の流れは、仕事にすぐ活かせました。
成果発表のときも、講義で学んだことをもとに、「この新規プロジェクトで3年後にこの収益を立てるには、これくらいの広告主からこれくらいの広告費をいただいて……」など数値を絡めた説得力のある発表ができました。

 

苦労した点としては、開始時間ですね。
19時に始まるため、仕事が終わってからだと夕食を取り損ねることもあって、講義中は疲労感・空腹と戦うこともありました。でも、今まで学んでこなかった新たなことを学べる楽しさの方がまさっていたので乗り越えることができました。
また、個人で参加していたら疲れに身を任せて休む、なんてことがあったかも知れませんが、クラスがあったおかげで「あの人の意見をもっと聞きたいな」「みんなで頑張りたいな」と脱落せず続けられました。

 

 

スクール卒業後 〜選んだのは円満な転職〜

「自分らしく働く」ための第一歩として、勤めていた会社の上司にセクシュアリティをカミングアウトし、あわせてD&Iをプロジェクトとして推進したい旨を伝えました。
上司は「話してくれてありがとう」と言ってくれたものの、50年以上の歴史がある会社というのもあり、簡単には浸透させられないかもね、と話が出ました。社風を考えると、役員たちを巻き込んでいくには、時間がかかりそうだよね、と。

 

であれば、と自身の年齢も踏まえて転職を決め、円満に退職しました。私のパートナーは全国転勤の可能性もありましたし、ライフスタイルの見直しという点も大きかったです。
PRIDE SCHOOLが終わった11月から転職活動を始めて、2月から現在の会社に勤めています。
企業の採用の入り口を支援する会社で、フルリモートで働けるので場所や時間に縛られず、多様な社員たちが同じ選択肢の中で働けている点に惹かれました。……と言いつつ、フルリモートということもあり、直接会えた社員はほとんどいないのですが(笑)。
業務は1人で裁量権を持って仕事を回せるので、講義で学んだ問題解決の力を活かせるいい経験を積めています。

 

いずれは色々な会社の採用の入り口だけでなく、そのさらに先までフォローし、そこでD&Iの推進にも寄与できたらなと思っています。
また、求職者のキャリア相談も担当することがあるので、直接的な当事者のサポートもしてみたいです!

 

 

おわりに 〜受講を考える未来の皆さんへ〜

 

クラスメイトにはさまざまなセクシュアリティの方がいて、他の当事者の経験談から新たな発見・気づきを得られます。そこで視点が増えると、自分の中での「多様性」への考え方が広がります。

 

例えば、あるトランスジェンダー男性のクラスメイトは、「男性として働きたい」と職場の上司に相談したら、「この会社は女性管理職の割合を上げたいと考えてるから、女性の方が優遇される。だから戸籍を変えず『女性」のままでいた方がいいよ」と勧められたと言っていました。
「その人が自分らしく働くにはどうしたらいいか」ということと、本質的にズレた議論になっていますよね。その話を聞いた時、社会にはD&Iの認識にズレがあるんだ、と衝撃を受けましたし、本質を見極める重要性も痛感しました。

 

新しいことへの挑戦には不安がつきものですが、それを超える面白さ・得られるものがPRIDE SCHOOLにはあります。

 

JobRainbowさんとTENGAさんのサポートもありますし、安心してチャレンジしてみてください!

 

 

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