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第2回PRIDE SCHOOL卒業生インタビュー『20代のトランスジェンダー男性(FTM)Kさん』の場合
2021年10月に開講した、第2回PRIDE SCHOOL。
約2ヶ月間に渡るスクールライフの中で、受講者はどのような学びがあり、卒業後半年以内にどのような変化があったのかを、3名の方にインタビューしました。
3人目の卒業生は、20代のトランスジェンダー男性(FTM)のKさんです。
就職活動を控えていながらセクシャリティのことで前向きに取り組めなかったKさん。
PRIDE SCHOOLでの仲間との出会いや、学びを得てどのような変化があったのでしょうか。
応募前のホンネ 〜YouTubeで見ていた人がゲスト講師に〜
大学3年生の頃、LGBTの就活サポートを探していた時に、JobRainbowさんの求人サイトと出会いました。その頃からJobRainbowの星賢人さんに憧れがあったので、PRIDE SCHOOLの存在を知ったとき「星さんがやっているスクールならぜひ参加してみたい!」と思いました。
当時は就職活動の取り組み方に対して不安がありましたし、自分がトランスジェンダーであることも受け入れがたかったというか……。「なんで自分はこうなんだろう」と思っていました。自分のセクシャリティについて親から拒絶されてしまったことで、親との関係性にも悩んでいました。
ネガティブな自分を変えたいと思いましたし、それに対する後押しが欲しくて。
あとは、自分の周りにはLGBT当事者がいなかったので仲間との繋がりができたらいいなと思っていました。第一回目に、自分と同じトランスジェンダーの就活生もいたことをインタビュー記事を見て知っていたので、同じ状況の人と出会えるのかなという期待もありました。
PRIDE SCHOOLに参加して自分の気持ちが変わることで、就職活動に対してもプラスに働くといいな、と思って応募を決めました。
当選の連絡を受けた時は素直に嬉しかったです。ゲスト講師のみたらし加奈さんや木本奏太さんのYouTubeを普段から見ていたので、実際に話を聴けるのがとても楽しみでしたね。
受講中のホンネ 〜性別や年齢、セクシャリティもさまざまな人がいて、刺激をもらえた〜
PRIDE SCHOOLはリモートでの開催でしたが、通常の講義はそこまでしんどい印象は無かったですね。私が通っていた大学ではリモート講義がほとんどだったので、それに慣れていたのもあると思います。
自分が所属していたレッドクラスは個性的な方が多くて、特に思い出深いです(笑)。性格や年齢、セクシャリティも様々な人がいて、すごく刺激をもらえました!
講義の中でも特に印象に残っているのは、ゲスト講師として登壇されていたYouTuberの木本奏太さんの「LGBT×〇〇〜かけ算で魅力を伝えよう〜」の講義です。
「トランスジェンダーであることを魅力の一つとして捉える」と仰っていたのが、同じトランスジェンダーである自分の意識を変えるきっかけになりました。マイナスに感じていた点も魅力に繋がるんだな、ということを知れたのが、自分の中では大きかったと思います。他にも、私は「人に言われたことを気にする」という弱みがあったのですが、「気にしやすい性格だからこそ、敏感に人の変化に気がつくことができる」という魅力を見つけることができました。
成果発表課題は、メンバー全員がやりたい事の方向性がバラバラだったので、最初は意見をまとめるのが大変でした……。一方で、成果発表課題をきっかけにメンバーと仲良くなり、プライベートの話もするようになりました。
本番のプレゼンも大変でしたが、TENGAのマーケティング本部長のEddieさんがプレゼン内容をほめてくださったと聞いて嬉しかったです。
卒業後のホンネ 〜前向きな気持ちで始められた就職活動。人事部に進みたい〜
PRIDE SCHOOLが開講するタイミングでホルモン注射をはじめたのもあって、その時期は自分にとって、大きなターニングポイントになりました。
参加する前は正直「死にたい」とマイナスな気持ちもあったんですけど、PRIDE SCHOOLで他の当事者と出会ったことで、悩んでいるのは自分一人だけでは無いし、あたたかい人たちがこんなにいるんだと知ることができたのが大きかったです。
LGBTであることが悪いことではないし、「自分は自分でいいんだ」とポジティブに考えられるようになりました。この出会いを通して、LGBT当事者も温かく受け入れてくれる社会になってほしいと思うようになったし、自分も悩んでいる人に発信していけるようになりたい、と思いました。
PRIDE SCHOOLを卒業して前向きな気持ちになり、リクルート用のスーツも買いに行きました!
就職活動は順調に進んでいて、内定を頂いた企業には自分のセクシャリティをいずれ伝えようと思っています。PRIDE SCHOOLや就職活動を通して、自分がやりたいことや、得意なことを見つめ直した結果、最終的には人事部に行きたいと考えるようになりました。LGBTについての積極的な発信や社内啓発などに取り組んでいくことで、社内の環境を率先して変えていきたいなと思っています。
また残りの大学生活では、校内にオールジェンダートイレを導入する取り組みを、LGBT支援室と共同で行っています。これまでゼミの活動の一環で、学生を呼ぶ時の敬称を「さん」に統一してもらったり、性別欄のない履歴書を用意していただくなども取り組んできましたが、卒業するまでにまた新たなアクションができないかと考えています。
おわりに 〜参加前は孤独を感じていた〜
私はPRIDE SCHOOLに参加する前は、結構孤独を感じていました。友達はいたんですけど、トランスジェンダー当事者としてはずっと1人で戦っているような感覚で。
PRIDE SCHOOLに参加して初めて、自分と同じように頑張っている仲間や応援してくれるアライの存在を感じましたし、参加して良かったと思いました。
また、当時は就職活動を前に気持ちが足踏みをしていたというか、「始めたくないな……」と逃げてた面もあったと思います。自分のマイナスな面ばかり見てしまうことでネガティブになっていましたが、自分の良さや魅力を改めて考える機会になりました。
セクシャリティについての悩みがある人も、就活に悩みがある人も、仲間と出会えるというのはすごく大きいことだと思うので、ぜひ参加して欲しいなと思いますね。