PRIDE SCHOOL

第3回 PRIDE SCHOOL 卒業生インタビュー『たいちさん(30代、ゲイ男性)』の場合

第3回 PRIDE SCHOOL 卒業生 たいちさんの画像

2022年10月に開講した、第3回PRIDE SCHOOL。
Gatherというシステムを利用したオンライン上のバーチャルキャンパスで、約2ヶ月間のスクールライフを過ごした受講生にはどのような学びがあり、卒業後どのような変化があったのか。
3名の卒業生にインタビューを行いました。

 

3人目の卒業生は、たいちさん(30代、ゲイ男性)です。

 

第3回 PRIDE SCHOOL 開講式
第3回 PRIDE SCHOOL 卒業式

 

 

自分自身、そして今後の人生に向き合うために踏み出した小さな「一歩」

 

JobRainbowさんの求人情報サイトには4〜5年前から登録していました。サイト利用者として、星賢人さん(JobRainbow代表取締役)からインタビューを受けたり、星さんの登壇するイベントがあれば会場に足を運ぶなど、以前からご縁が多くありました。

 

そんな中、JobRainbowさんからのメルマガでPRIDE SCHOOLを知り、「色んな想いを持つ講師や仲間、学び溢れるこんなわくわくする世界が広がっているんだ!」と過去の開催情報やオープンキャンパスの動画を視聴して興味を持ちました。

 

30代半ばに差し掛かり、どんな道を歩みたいのか。学びを通じて自分自身ともっと向き合い、今後の人生にどのように挑戦していくかを考えたいと思っていたタイミングだったので、応募を決意しました。

 

参加した当時は、東南アジアを中心に教育関連業務に従事していました。
自身もセクシャルマイノリティである背景から、今後はDEIB(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン&ビロンギング)の領域で「一人ひとりの“らしさ”」を実現するキャリアを積んでいきたいと考えるようになりました。


PRIDE SCHOOLに参加することで同じような世界に関心のある仲間たちと出会い、築いた繋がりや想いと一緒に「誰もが自分らしく生きられる社会」に繋がる一歩を踏み出したいと思ったのです。

 

 

多様な講義内容と、新たに発見した自分の“魅力”

 

PRIDE SCHOOLでは自分のペースで学ぶeラーニングのほか、みんなで集まってオンラインで学ぶ講義、受講生同士の交流など、自分が元々興味のあった分野はもちろんのこと、新しい学びも多く得ることができました。

 

eラーニングの講義の中でも印象に残っているのが「DEIBリーダーシップ論」という講義で、どのようにDEIBを組織に浸透させていくかを学びました。

 

理解促進のためにいきなりハード面である制度を作っても、組織内でなぜその制度が必要か、一人ひとりが納得感を持ち、理解を深めるソフト面を醸成していかないと「誰も利用しない/出来ない」ものとして失敗に終わってしまう。

本当に理解を生み出すためにどんなプロセスで取り組む必要があるのか、という点は大きな学びになりました。

 

個人的な意見ですが、様々な企業のD&I関連のページを見てると、なかには単にトレンドだからDEIBを推進しているのでは?と感じるようなページもあります。

「誰の、何のために、なぜ取り組むのか」という本質的な問いと、その実現に向けた道筋の創り方を、講義を通じ深めることが出来ました。

 

またPRIDE SCHOOLはオンライン開催ということもあり、全国各地からさまざまなバックグランド、年代、個性を持った仲間たちが参加していることも特徴です。

一人ひとりにとって心地よい環境を作っていくためのプロセスや向き合い方、コミュニケーションの取り方なども講義の中で学ぶことができました。

 

その他には「アサーティブなコミュニケーション」の講義も非常に学びになりました。

 

私は人と接する時に、自分の伝えたいことや、想いがついついあふれてしまうタイプで……。
PRIDE SCHOOLのなかでも、仲間の想いに深く触れるコミュニケーションを取りたいと思っていたはずなのに、気づいたら自分だけが熱くなって話しすぎてしまうことも多くなってしまっていることもありました……。

 

受講生一人ひとりと向き合い、それぞれの想いに触れながらスクールライフを送りたいと思っていたので、この講義からは自分の言動を省みるきっかけになりました。

 

また、ゲスト講師による特別講義では、木本奏太さんの「ショート動画作成の極意」が特に印象的でした。

動画を作る上でまず重要な、自分の魅力を発見するための「掛け算の考え方」や、他人にどのように興味を持ってもらうのかの考え方は、とても勉強になりましたね。

それまで私はとにかく自分に自信がなく、「得意なことも、特別な個性もない」と思っていました。

しかし自分の属性やアイデンティティと興味を掛け合わせたときに、自分でも見えていなかった自身の新たな「おもしろさ」に気づけるようになり、「何も持っていないわけではない!」と思えるようになったのです。

 

一つひとつの講義やその中で生まれた対話は、自分ですらも知らなかった自分を見つけるヒントになりました。

仕事が忙しい時は次の講義までの課題をこなすことが大変だ、と思ったこともありましたが、それでも回を重ねるごとに知らない自分、仲間の想いに出会えることが楽しみで、講義が来るのが待ち遠しかったです。

 

 

仲間と夜中まで語り合ったスクールライフ

 

PRIDE SCHOOLではブルー、イエロー、グリーンなど、4つの色でクラスが分かれていたのですが、受講生の中でもグリーンクラスのYさんとの思い出が多く、卒業した今でも連絡をとっています。

私はレッドクラスだったのですが、最初の講義でクラスの枠を越えて取り組んだ「人生曲線」ワークの発表チームが一緒だったことがきっかけとなり、交流が増えていきました。

年齢が近いこともあり、お互いの人生プランについても話すこともあり、講義が終わった後に夜中2時まで語り合うこともありました。

Yさん以外のメンバーとも朝方まで語ることがあり、講義以外でも充実したスクールライフを送らせていただきました。

 

 

苦手に挑んだ成果発表課題、仲間がいたから出来た選択。

 

成果発表課題では、3種類のテーマから取り組む課題を選ぶというものでした。
今までの自分であれば、これまでの経験を生かしやすそうな「DREAM×DREAM」や「新規事業立案」を選んでいたと思います。

しかし特に印象に残った木本奏太さんの特別講義に触発されて、普段なら恥ずかしがり屋の自分が選ばないであろう「ショート動画制作」に挑戦することにしました。

あえて得意分野ではないテーマを選定した理由の一つは、他の受講生の挑戦する姿に自分も刺激を受け、「いつもの自分の枠」を越えたいと感じたからです。

 

実は課題が発表された当初、講義やワークを通じ仲が良かった受講生の4人でチームを作り、どれかの課題に取り組もうという話もありました。

ただ同時に疑問もありました。
仲の良い4人でやれば楽しく課題に取り組めるけど、本当にみんなそれでいいんだろうか。
私がPRIDE SCHOOLに参加した目的があるように、一人ひとり、実現したい想いがあるはず。
チーム一人ひとりが気持ちに向き合い、それぞれが本当に取り組みたいテーマを確認しあう時間を作りました。

その結果、2名はチームを組み、私を含む残り2名は個人ワークで最終課題に挑むことになりました。

 

「誰のどんな想いを、どんな形で」。楽しく取り組むことももちろん素敵なことですが、一人ひとりが本気で自分の想いを言葉にし、仲間の想いに心を傾けた上でそれぞれの挑戦の在り方を描けたことは、全員にとって有意義な時間だったなと感じています。

 

 

スクールメイトとの出会いで広がった世界

 

卒業に向けた最終課題、私は2019年に法制化された台湾の同性婚をテーマに1分間ショート動画を制作しました。

台湾出身の友人にも出演してもらい、台湾の同性婚の実態や、なぜ実現することができたのか、現場で友人が見たこと、感じたことをインタビュー形式で構成しました。

 

撮影した動画は全体で20分のものに。
分かりやすく、かつ伝えたいことを漏らさないためにどうしたら制限時間1分で伝わるのか、動画を見た後に一人ひとりが何か考えるきっかけ、気づきを生むためにはどうしたらいいのか。
動画づくりも編集も、初めての挑戦に頭を悩ませましたね。。

 

また同性婚について調べていくなかで、ノンバイナリー*の方との向き合い方について考えさせられることがありました。
PRIDE SCHOOLの受講生のなかでもノンバイナリー当事者として情報発信してくださっていた方がいたのがきっかけです。

理解し、気をつけているつもりであっても、「同性婚」というテーマで私が発する言葉には、どうしても「男女」の性をベースにしたストーリーが組み立てられ、ノンバイナリーの方に向けた配慮が不足してしまっていると痛感したのです。

それからは最終成果発表の日まで本や記事を可能な限り読み調べ、男女といったバイナリーな性にとらわれない、世界におけるノンバイナリーの方の結婚事例なども調査し、発表内容をブラッシュアップしてきました。

いろんなバックグラウンドを持った受講生がいたからこそ気づき、取り組めたことでした。

 

*ノンバイナリー(non-binary)とは、自身の性自認・性表現に「男性」「女性」といった枠組みをあてはめようとしないセクシュアリティです。

 

 

卒業後の転職活動。心が擦り減ったカミングアウト

 

PRIDE SCHOOLで行った人生曲線ワークの中で、10年後どうなりたいか、ありたい自分になるために近づくためにどうすればいいかを考えた結果、以前の仕事もやりがいはあったものの、転職をする決断をしました。

 

DEIBや人材開発など人事領域の仕事にチャレンジしたいと思ったのですが、これまであまり該当領域での業務経験がなかったため、転職活動はなかなかうまくいかず苦労したこともありました。

また「自分らしさ」をちゃんと伝えて挑戦したいという想いから、選考の際にも自身のセクシャリティをカミングアウトして臨んでいました。
自分で決めたことですが、カミングアウトをする度に「受け止めてもらえただろうか」と不安になり、心が擦り減ることもありました。

カミングアウトできずに働いてきた苦しい過去を自分が持っているからこそ、「誰もが自分らしく働ける、成長できる」そんな環境を創っていきたいという想いを伝えることが出来、最終的には人事職で内定をもらうことができました。

このこともPRIDE SCHOOLで「ありたい姿」に向かって自分の枠を超えながら挑戦することの大切さを学んだことが活きていると思います。

 

 

本当の自分を大切に思えるようになった PRIDE SCHOOL

 

私はクローゼット(カミングアウトしていない状態)で生きてきた人生が長く、子どもの時からどこか自分を隠して人と向き合っていることに後ろめたさを感じていました。

何か自信が持てるものがあるわけでもなく、本当の自分はどこにいるんだろう、そう考えることもありました。

でも、PRIDE SCHOOLに参加して、過去の自分やありたい未来と徹底的に向き合う中で、苦しい想いや、脆くて好きになれない等身大の自分含めて嘘じゃないことに気づけたし、だからこそ今の自分があると思えるようになったんですよね。

一緒に過ごした仲間との時間、想いと向き合えたことで、本当の自分を大切に思えるようになり、なりたい自分に向けて前に進める時間を過ごせたなと思います。

PRIDE SCHOOLという場で生まれた関係性や気づきを原動力に、もっとわくわくする未来をみんなで広げていくのが、今の目標です!

 

みなさんにとっても、PRIDE SCHOOLが新しい自分と出会える、そんな場になりますように。

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