PRIDE SCHOOL

第3回 PRIDE SCHOOL 卒業生インタビュー『みこちさん(20代、シスジェンダー女性)』の場合

第3回 PRIDE SCHOOL 卒業生 みこちさんの画像

2022年10月に開講した、第3回PRIDE SCHOOL。
Gatherというシステムを利用したオンライン上のバーチャルキャンパスで、約2ヶ月間のスクールライフを過ごした受講生にはどのような学びがあり、卒業後どのような変化があったのか。
3名の卒業生にインタビューを行いました。

 

2人目の卒業生は、みこちさん(20代、シスジェンダー女性)です。

 

第3回 PRIDE SCHOOL 開講式
第3回 PRIDE SCHOOL 卒業式

 

 

 

いまは社会人なのですが、就活の時にJobRainbowの求人サイトに登録していてそのままにしていたところ、たまたまPRIDE SCHOOL開講のお知らせメールを目にしたのが、参加のきっかけでした。

 

私は、大学在学時の頃から、「LGBTQが少しでも生きやすくなるように、何かの形で関わりたい」と考えていましたが、その一方で具体的な行動は起こせずにいました。

それというのも、「若いうちはやりたいことだけをやるよりも、ある程度社会人としてのキャリアやスキルを培い、10~20年後に本当に自分がやりたいことをすればいい」と考えていたので……。

 

しかし、昨今のLGBTQに対する関心の高まりを見て、「『いつかやりたい』ではなく、今行動に移さなければいけないんじゃないか」という焦りを感じ、PRIDE SCHOOLを通して何かヒントを得たいと考えて、参加しようと決めました。

 

 

 

実際にPRIDE SCHOOLに参加してみて、予想よりも参加者がかなり多いことに驚きましたね。
開講式ではみんな緊張していましたが、講義を通していろいろな話をする中で、少しずつ打ち解けていきました。

 

PRIDE SCHOOLの開講期間中はGather(2Dメタバースツール)を利用したオンラインキャンパスで過ごしましたが、受講者のみが参加できるクローズドな空間でありながら講義の時間以外でも自由に出入りすることができ、参加者同士のコミュニケーションが取りやすかったです。

「とにかく色んな人と交流したい!」という気持ちもあり、積極的にコミュニケーションを取るようにしていました。

 

私はそれまで当事者同士でオープンに交流する機会がなかなか無かったため、初めて「仲間」と呼べる人たちができたのが嬉しかったです!

参加者は年齢も、国籍も、セクシュアリティも、住んでる地域もバラバラで、こんなに多様な人たちが一度に集まって共に過ごす機会はこれまでに無く、さまざまな方と関わることができ、貴重な体験になりました。

 

私はこれまで、自己理解を深めるために大学でジェンダー論やクィアスタディーズなどを学び、多様な性に関する知識を詰め込むことを重視していました。

そのため、当事者についてある程度理解したつもりでいたけど、さまざまなセクシャリティの受講生との交流を通じて、実は何も知らなかったことに気づかされ、もっと多くの当事者のリアルな声を知りたいと感じました。

 

 

 

PRIDE SCHOOLでは自分のペースで好きな時間に受講することができるeラーニングの講義と、週1回オンラインキャンパスに集まって行う実践的な講義の2種類がありました。

 

eラーニングの講義では、「アサーティブなコミュニケーション」に関する講義と、「D&Iがなぜ組織に必要なのか?」の2つが特に印象に残っています。

「アサーティブなコミュニケーション」という講義では、自分の思い通りに人を動かそうとするのも、人に頼んでもいいことを頼まずに抱え込んでしまうのも、不適切な自己表現であると教わりました。

アサーションとは、自分も相手も大切にした自己表現である、という考えは、仕事だけでなく普段の人間関係にも活かしたいと思っています。

 

PRIDE SCHOOLでは受講生の心理的安全性が常に意識された運営をされていたのも良かった点の1つです。

開講してすぐに「『人生曲線』を作る」という講義があったのですが、自分のプライベートなことであるライフヒストリーを話すことに、最初は抵抗がありました。

しかし、お互いのこれまでの経験を開示することで、相手のこれまでの人生にも似た経験があったことを発見するなどし、お互いに仲間意識が湧き、距離感がぐっと縮まった気がしました。

 

また、ゲスト講師である臨床心理士のみたらし加奈さんの特別講義では、「自己肯定感」とは自己効力感や自尊感情とは違い、「自分が自分であって、“大丈夫”」「英語の“It’s OK”に近い」という言葉が印象に残っています。
今でもふとした時に思い返しますし、心がすっと軽くなる感覚がありますね。

 

 

 

成果発表課題では、3つの選択肢の中から「新規事業企画」を選択しました。

どんな内容にするか悩んでいたところに、他の受講者の方のアイデアに共感し、「女性の体を持つ“すべて”の人のための、婦人科や心療内科につなぐオンラインプラットフォーム」という新規事業プロジェクトについて、私を含めた3人で取り組むことになりました。

 

チーム3人がそれぞれ役割を担当し、私はブランドロゴのデザインや事業全体に関する発案を行い、もう一人がそのアイデアを文字にまとめ、もう一人は資料作成や事業立ち上げに必要な費用の概算を担当しました。
チーム内での役割分担が上手く行えたことで、かなりスムーズにプロジェクトを進められたと思います。

 

また、実際に受講生にアンケート調査に協力してもらい、「婦人科に行くことに抵抗があるか」などいくつかの質問をしてターゲットのリアルな声を聞き取りしました。
そのほかにも、オンラインピル処方などのサービスを行う複数の会社に、トランスジェンダーがサービスを利用することについての所見を問い合わせてみました。

プロジェクトのデザインも女性らしいフェミニンなデザインに偏らないよう留意し、制作を進めていきました。

 

成果発表会では、受講生投票による上位のチーム3チームのみが卒業式での最終成果発表会に進むことができるということで、なんとしても1位になって卒業式で発表内容を星さん(JobRainbow CEO)に聞いてもらいたいという想いがあり、緊張しつつも精いっぱい発表しました。

無事1位通過することができ、卒業式で星さんに新規事業を直接提案することができ、とても貴重な経験となりました。

仲間と共に一生懸命取り組んだからこそ、終わってしまうのがとても寂しく、涙を堪えながらの発表となりました。

 

 

 

実は、PRIDE SCHOOLの在学中に、転職先が決まりました!

PRIDE SCHOOLに参加したきっかけでもある、「いつかLGBTQに関わることがしたい」という目標にマッチする職場を、たまたまJobRainbowの掲載で見つけ、勢いのままに応募しました。

 

以前の職場には特別不満があったわけではなく、自身が当事者であることで職場に配慮を求めることもありませんでしたが、「彼氏と結婚しないの?」と聞かれたり、「うつ病は甘え」といった発言を見聞きしたり……。
職場での接客中にも、お客様からセクハラや女性差別を受けたりすることがままありました。

 

今の職場ではLGBTQに興味関心を持ってくれる人達がいて、アライの人が職場にいるという確信を持ちながら働けているため、安心感を持つことができています。

職場では、職員向けの性の多様性理解に関するガイドラインを作成したり、職場内グループを立ち上げてアライを増やす活動をしたり、「多様性」について考えるラジオに出演したりして、LGBTQフレンドリーな環境づくりを目指しています

 

また、PRIDE SCHOOLを機にもっとたくさんの当事者に直接関わってみたいという気持ちが湧き、レインボープライドなどのイベントや、男女共同参画センターなどが主催するセミナーなどに積極的に参加するようになりました!

改めて、この2か月間が自分にとっての転機だったと感じています。

 

 

 

私はかつてセクシュアルマイノリティの当事者であることに孤独感を感じ、また性被害者として人間不信になっていた経験があります。

そのため今回のオンラインキャンパスへの参加も、最初は人間関係に特に不安がありました。

 

しかし、2か月間のPRIDE SCHOOLでは新たな職へ転身する助けになったことに加え、かけがえのない仲間ができました。
全国に自分と同じような仲間がいると知れたことは、今でも心の支えになっています。

 

PRIDE SCHOOL卒業後も、誰かに紹介したいという気持ちがずっとありましたし、次回開講するときには、ぜひ多くの人に参加してほしいと思っています。

最後までやり遂げられるかどうかは、やってみないとわかりません!
もしあなたが少しでもPRIDE SCHOOLに興味を持ってこのインタビューを見てくれているなら、ぜひ一度応募してみてほしいです。

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